診療科目
泌尿器科では、副腎・腎、尿管、膀脱・前立腺等の後腹膜臓器と
尿道・陰茎・睾丸・副睾丸などを扱います。
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過活動膀胱について教えてください。
過活動膀胱(OAB:Overactive bladder)は近年確立された臨床症状に基づ<症候群で、そういった症状を示す「尿路系」の他の病気がある場合には勿論あてはまりません。。
症状について説明してください。
典型的な症状は、オシッコがしたいとなったらもう我慢できない尿意切迫感、
オシッコが近い頻尿・布団に入ってからオシッコが近くなる夜間頻尿、オシッコが貯まった蓄尿時の膀胱痛・オシッコが我慢できずに漏れてしまう切迫性尿失禁などです。
この過活動膀胱という概念は、蓄尿障害の有病率の高さとその治療の重要性を明らかにした画期的な提案だと思います。ちなみにOABの有病率は日本では12%強と言われています。
尿の排泄時でなく、蓄尿時での障害にスポットを当てた点ですね。しかし12%強ということは、実に約8人にひとりということになりますね。
振り返ってみると、私が泌尿器科医になった昭和55年頃の排尿障害といえば、主に尿が膀胱から体外に出し難い「排泄」障害で、膀胱に尿を貯め難い「蓄尿」障害には、あまり目を向けられていなかったような気がします。 しかし、膀胱が排尿に使う時間は一生のうちのたった0.1%で、残りの99.9%は蓄尿にあてられており、年齢と共に頻尿や尿失禁が多くなるのは当然のことかもしれません。。
なるほど、確かにそうですね。しかし生命に影響を及ぼさなくても、生活に支障をきたすのは困りますね。
この過活動膀胱による頻尿、尿失禁などは当然の事ながら、
心の健康を含めQOL(生活の質)を大き<損ねる原因となっています。
この過活動膀胱に対する治療法は、行動療法と薬物療法の二つに分けられます。
行動療法には、意識的にオシッコを我慢するような膀胱訓練や、女性では活約筋の働きを強化する骨盤底筋体操などがあります。
一方の薬物療法では、抗コリン剤・β3刺激薬という薬が頻尿、蓄尿時膀胱痛・尿意切迫感・切迫性尿失禁などに有効で、時には合併する復圧性尿失禁(くしゃみや、運動などでお腹に力が加わった時にオシッコが漏れる状態)が同時に改善する事もあります。
男性では前立腺肥大症に伴う過活動膀胱の状態がよく見られます。この場合には、残尿が少なく排尿の効率が悪くないことを確認したうえで、前立腺肥大症の治療薬と一緒に前述の薬剤などで治療します。
薬物療法も有効ですか?
抗コリン剤の副作用としては、喉の渇き・便秘などが多く多少の使い難さがありますが、近年かなり改善されてきたような印象です。また、最近ではβ3刺激薬という薬が新たに過活動膀胱の治療薬として適応が通りました。以前からある抗コリン剤とうまく使い分けることで、過活動膀胱の治療効果が高くなるのではないかと期待しています。
悩んでいる方は多いわけですが、有効な治療で少しでも良くなるといいですね。ありがとうございました。
※上記内容は当院『季刊誌いぶりぶ』過去記事に基づきます
泌尿器科では、副腎・腎、尿管、膀脱・前立腺等の後腹膜臓器と
尿道・陰茎・睾丸・副睾丸などを扱います。
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